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ヒューマンサイエンス鍼灸学科ブログ

おもしろトピック:お灸の数え方(1)

今日は東洋医学系の科目を受け持っている内田先生から、おもしろトピックを紹介して頂きます。

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「鉛筆:十二打」と書いてあったとき、鉛筆は何本あるのでしょうか?

お灸をする回数を数える言葉として、「壮」という言葉があります。お灸を3回することを「お灸を3壮する」というように現代では言います。

「壮」という言葉を白川静著『字統』で調べてみると、『説文解字』には「大なり」とあり、『方言』には「秦・晋の間、おおよそ人の大なるもの、之を奘と謂ひ、或いは之を壮と謂う」とあります。

『礼記』(曲礼、上)には「人生まれて、(中略)三十を壮という」とあり、『広雅』(釈古)には「健なり」とあります。これらはいわゆる現代の日本でも使われる「壮年」に通じる意味です。

『礼記』の内容の成立は周から前漢代とされていますので、鍼灸医学の古典である『素問』『霊枢』が完成したころに一致し、「壮」を三十(歳)と考えていた可能性は充分考えられます。

また、お灸の原料になる艾(モグサ)という漢字についても、『礼記』(曲礼、上)に「五十を艾という」とあり、年齢(=数)と関係があります。これはヨモギの色が蒼白色で、白い細かい毛がいっぱい生えているので老人を指す言葉になったと考えられます。しかし、イメージとしてモグサは30回や50回のような単位で沢山使用するものということがあって、当時の人々は年齢が多いということに意味を重ねていたのかもしれません。

さて、冒頭の「鉛筆:十二打」ですが、「打」は中国語でダースに当てられている字になりますので、十二打は12ダース、144本になります。

打=ダースが分からない人は十二という数字から単純に12本と思ってしまうかもしれません。同じように、お灸の数え方にしても、「壮」という文字の使い方が忘れられてしまい、単純に1壮=1回としてしまった可能性もあります。出土した鍼から考えると、古い時代では鍼も太く、強い刺激を伴う鍼がなされていたことが推察されます。そのような時代ではお灸も火傷の跡が強く残るような、強い刺激のお灸がなされていたり、お灸の数も多かったりしたかもしれません。