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ヒューマンサイエンス鍼灸学科ブログ

おもしろトピック:倉頡(ソウケツ)の4つの目

内田先生が最近読んだ本の話です。

先日、読んでいた本(「神さまがくれた漢字たち」白川静監修、山本史也著)に漢字を作ったとされる倉頡(ソウケツ)の絵が載っていた。倉頡は鳥と獣の足跡を見て、その中に法則性を感じ、漢字を創作したとされている伝説上の人物である。

他の中国の伝説上の人物、神農(シンノウ)や伏儀(フクギ)などと同様に異形の特徴を持っており、倉頡の場合は目が4つある。

180px-Cangjie.gif

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%BC%E9%A0%A1

この『(歴代)君臣図像(クンシンズゾウ)』という本から引用された絵を見ていると、自分の目の焦点が狂ってしまったような感じになってくらくらしてしまう。しかししばらく見ていると、実際に目が4つあるわけではなく、普通の人間が持つ目に加えて物事の本質を見通す目があるという比喩的表現なのではないかと思えてきた。実際に目が4つある人がいたとは考えにくいので、そこには漢字誕生にまつわる事実が隠されているのではないだろうか。一般に漢字は一人の人間によって作られたのではなく、ある程度長い時間をかけて複数の人の手によって作られたと考えられている。複数の人によるものであったにせよ、その人たちにはある共通性があり、それがシャーマンや呪術を行うような特殊能力(見えないものを見ることができ、人と神霊の仲介をなす)であったとすると4つの目の理由が納得できるように思える。そもそも、物事に名前を与える(文字で定義する)ということ自体がその物事を呪術的に拘束するという意味がある。日本の昔話でも「大工と鬼六」のように鬼は本名を知られると、本名を知っている者の支配下に入ってしまうというモチーフがある。古代中国でも本名を使わずに字(あざな)を使っていたのは、呪術的な禁忌の名残であると考えられる。

そう考えると目が4つある倉頡によって漢字が作られたという伝説は、物事の本質は何かということを含んだ、美しい比喩になっていると思う。漢字というのは本当に呪術的であり、本質的であるために美しい。漢字を考えて瞑想でもすれば、なにか隠された真意をささやきかけてくれるような気がしてしまう。

(結論。「神さまがくれた漢字たち」は良い本でした。オススメです。)